「消える老人」「児童虐待」など、家族をめぐる事件が世間をぎわせている昨今である。そして、そのたびにテレビなどマスコミには、「日本の社会がここまで劣化してしまったか」と嘆き、「美しき良き日本の家族制度」への郷愁のコメントに溢れている。
しかし、それはほんとうに「劣化」なのであろうか? 家族の形態が時代とともに変化しただけではないのか? 社会が豊かになり、発展するとともに、より個人が自由を獲得していくのは当然の流れではないだろうか? 老若問わず、現実に1人世帯が多数派となりつつある現代日本において、いつまでも旧来の家族制度にしがみつき、それに合わせた制度を維持し続けていることが、多くの不幸を生んでいることを直視すべきだ。
例えば少子化対策の優等生として語られるフランスについて、その成功理由として手厚い子育て支援が取り上げられることが多い。もちろん子育て支援も少子化対策として有効ではあろうが、フランスの成功理由の大きな部分は、自由な婚姻制度によるものだ。同棲婚、シングルマザーといった、いわゆる「正式な婚姻」以外の家族のあり方に対する社会と制度の許容が、少子化をストップさせた成功理由だと思う。その証拠に、今や、フランスは婚外子の割合が5割を超えている(日本はわずか2パーセント)。
日本ももっと多様な生き方を許容する制度に改めるべきだし、欠点だらけの戸籍制度は廃止すべきだ。このように言うと保守的な言論人からは「制度を緩めると、家族が崩壊してしまう」という声が聞こえてきそうだが、家族などとっくに崩壊しているのだ。
過去の郷愁にしがみついて現代の個人を不幸にするよりも、現実を直視して、少しでも多くの個人を幸せにすることが大切なのではないか?
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